「お父さんやお母さんの銀行口座、このままで大丈夫かな…?」
最近、そんな漠然とした不安を感じている方が増えているように思います。
特に、ご両親の物忘れが気になるようになったり、
同じ話を繰り返すことが多くなったりすると、
将来のお金のことってやっぱり心配になりますよね。
実は、「認知症になったらすぐに銀行口座が凍結する」
と思われている方もいらっしゃるのですが、
必ずしもそうではありません。
では、銀行は一体いつ、どんなときに
「この人の口座は凍結した方が良い」と判断するのでしょうか?
そして、もし凍結してしまったら、どんな「困った!」が起こるのでしょうか?
「親のお金、どうなるの?」認知症と銀行口座凍結、家族の不安の始まり
「最近、お父さんがATMで何度か操作を間違えていたみたいで…」「お母さんが通帳をどこに置いたか忘れてしまって…」
そんな小さな出来事から、ご両親の認知症の兆候に気づくことは少なくありません。でも、それがすぐに銀行口座の凍結につながるわけではないんです。多くの銀行では、まずご本人やご家族からの相談、あるいは不自然な入出金やトラブルの発生などから、「もしかして、判断能力が低下しているのでは?」と気づくことがあります。例えば、窓口で本人が何度も同じ質問を繰り返したり、高額な出金をしようとしてその理由が不明瞭だったりするケースです。銀行がご本人の状況を確認し、医師の診断書などで認知症と判断されると、ご本人の財産を守るために、口座の取引を制限したり、最悪の場合には凍結したりすることがあります。これは、ご本人が詐欺などに遭ってお金を失ってしまうのを防ぐための大切な措置なのです。
でも、一度銀行口座が凍結されてしまうと、本当に大変なことが起こります。ご両親の年金や生活費の引き出しはもちろん、介護施設の費用や病院代の支払い、光熱費や税金の引き落としなど、あらゆるお金のやり取りができなくなってしまうのです。想像してみてください。突然、お父さんやお母さんの大切なお金が、目の前にあるのに使えなくなってしまう状況を。これは、ご両親だけでなく、そのお金で生活を支えているご家族にとっても、大きな負担となってしまいます。実際に、口座が凍結され、介護費用が支払えなくなり、ご家族で一時的に立て替えることになったというケースも耳にします。
家族みんなで考えよう!認知症で困る前にできる「安心」への道のり
「うちの親に限って、まだ大丈夫」「お金の話は、なんだか切り出しにくいな…」
もしかしたら、あなたもそう思っていませんか?しかし、認知症は誰にでも起こりうることであり、「まだ早い」と思っているうちに進行してしまうことも少なくありません。だからこそ、ご両親がお元気なうちから、家族みんなで将来のお金について話し合うことがとても大切なんです。例えば、お正月やお盆など、家族が集まる機会に少しずつでも良いので、「もしものことがあったら、どうしようか?」という話題を、やわらかく切り出してみてはいかがでしょうか。
でも、いざ家族で話し合おうと思っても、意見がまとまらなかったり、感情的になってしまったりすることもありますよね。特に、お金のことや、ご両親の将来に関わる大切な話なので、どこから手をつけていいか分からない、という方もいらっしゃるかもしれません。そんな時に役立つのが、「第三者」の視点を取り入れることです。私たちのような相続の専門家は、ご家族の間に立って、それぞれの気持ちや意見を丁寧に引き出し、みんなが納得できるような方向へ導くお手伝いをすることができます。約2週間から1ヶ月かけて、ご家族の意見をじっくりと聞きながら、最善の選択肢を見つけるサポートをしています。ご家族だけでは話しづらいことでも、第三者が間に入ることで、スムーズに議論が進むケースはとても多いんですよ。
「もっと早く知っていれば…」後悔しないための具体的な対策
では、具体的にどんな対策があるのでしょうか?ご両親の判断能力がしっかりしているうちに検討しておきたいのが、「家族信託」や「任意後見制度」といった方法です。
「家族信託」とは、ご両親の大切な財産を、信頼できるご家族(例えばお子さん)に「託す」ことで、ご両親のためにその財産を管理・運用してもらう仕組みです。これなら、ご両親が認知症になっても、あらかじめ決めておいた通りに、お子さんがお金を動かすことができるようになります。銀行口座が凍結されても、信託された財産は凍結されないため、安心してご両親の生活費や介護費用に充てることができるようになります。
また、「任意後見制度」も有効な手段の一つです。これは、ご両親が将来、認知症などで判断能力が不十分になったときに備えて、あらかじめ「この人に財産管理や介護の手続きをお願いします」という契約をご自身で結んでおく制度です。これにより、ご両親の意思が尊重されながら、選ばれた人(任意後見人)が財産管理などを代理で行うことができます。
どちらの制度も、ご両親が元気なうちにしっかりと準備をしておくことが大切です。専門的な手続きが必要になるため、一人で悩まずに、信頼できる専門家に相談することをおすすめします。大切なご両親のお金を守り、ご家族みんなが「これで安心だね」と言えるような未来を築くために、今からできることから始めてみませんか?
私は、ご家族の「安心」を一番に考えることが、何よりも大切だと考えています。
