セミナー参加者の声から見えた“話せない”本当の理由
「最近、親と介護やお金の話をしましたか?」
そう尋ねると、「気にはなってるけど、どう切り出せばいいか分からなくて…」と返ってくることが少なくありません。
先日開催したセミナーでも、多くの参加者が「なかなか親に話せなくて」と悩まれていました。
ある方は、こんなふうに話してくれました。
「母がアパート経営をしていて収入はあるはずなのに、“お金がない”といつも言ってるんです。税金ばかり払って何も残らない”とこぼしていて・・・」
もう1人の方は、
「年金額すらわからないまま…。本人は『施設には入れない』って言うんですけど、じゃあどうすればいいのか分からなくて。何か良い方法はありませんかね」。
こうした声に共通していたのは、「話したいけど、話せない」という親子間の“遠慮”かもしれない
そんなことを感じました。
親世代の本音
たとえば、親世代からはこんな言葉が聞こえきます
・「死ぬ準備の話なんかして、もう死ねってことかい?」
・「そんなに財産が気になるなら、私が死ぬのを待ってればいいじゃない」
・「財産は亡くなってから知ればいい。今さら明かす必要なんてないでしょ」
こうした言葉ぼ奥には、
「自分の老いに向き合いたくない」
「財産をあてにされるのは嫌だ」
という複雑な感情があるのかもしれません。
また、昔は“親の面倒をみるのが当たり前”だったという時代の感覚が、今も心の中に残っていることもあるようです。
子供世代の本音
けれど本当は、子どもたちはこう思っているのです。
・「財産じゃなく、“気がかりな未来”の話がしたいだけなのに…」
・「何かあってからじゃ遅いって、何度言えばわかってくれるの?」
・「心配してるだけなのに、なんでそんなに突っぱねるの…」
この“気を使って話せない”という遠慮のまま時間が過ぎてしまうと、
制度の変更や家計の変化に気づかず、“気づいたときにはもう手遅れ”ということにもなりかねません。
収入がある=安心 とは限らない
たとえば、医療費や介護保険の負担割合は、年齢や収入によって変わります。
特に介護制度は3年ごとに見直されており、「知らないうちに自己負担が増えていた」という方も少なくありません。
収入があるはずなのに「出ていくお金が多くて生活が苦しい」と感じる背景には、制度を知らないままに損をしてしまっているケースもあるのです。
まずは、「話す」ではなく「聞く」ことから。
「話さなきゃ…」と思うと、どうしても言葉を選んでしまいます。
でも、「今日セミナーでこんな話を聞いたよ」
そんな“聞いたことの共有”なら、ずっと自然に話せるのかもしれません。
親も子も、お互いにとって重たいテーマ。
だからこそ、誰かの体験や知識を“聞いてみる”ことが、
踏み出せる、小さなきっかけの一歩になります。
私のセミナーは、そんな“対話のきっかけ”をつくることでもあります。
大切な人と向き合うためのヒントを、これからもお届けしていきます。