家族会議という第一歩

一年かけて準備してきた資料が先日揃いました。
いよいよ来月に家族での会議が開かれる一家のお話。

親が考える相続、子供の考え方はさまざまです。
正解もなく、どれも正解とも言える。
だから難しいです。

この会議は
父親にとっても正解かを問う
大切な時間となります。

相続で大切なのは、財産ではなく「話し合うこと」

不動産の相続(実家)を話し合い

父の声は少し硬く
「今日は…ありがとうな、みんな。」
いつもの、もの優しい表情は
少し影を潜めていた。
「今日は大事な話をしたくてな。相続のことだ。」


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当初はこのような家族会議を
開催することは考えもしていない
お父さん(クライアント)でした。
何度か打ち合わせを重ねて行った先に
娘たちに伝えてみたい気持ちに
変わったそうです。
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「この家を継いでもらいたいのは、長女だと思っている。」

父がそう切り出したとき、
次女は視線を伏せた。
そして静かにこう答えた。

「正直に言うと、複雑な気持ちもある」

亡き母と家族で過ごした実家。
この実家には、姉妹それぞれの
大切な思い出を持っている。
次女にとっても同じ気持ち。

自分が家を継ぐわけないという現実に、
妹はまだ受け止めきれない様子。

その言葉を父はじっと聞いていた。
そして、こう答えた。
「その気持ちを話してくれてありがとう。こうして話しておけば、後から誤解が生まれることもない。」

相続対策における家族会議の本質

相続の話し合いで大切なのは、
財産の分け方だけではありません。

親の考えと子供たちの
受け止め方にズレがあれば、
今のうちに修正することができます。

家族それぞれがどんな思いを持ち、
何を考えているのかを共有し、
理解し合うこと。

もし遺言書だけで、
それを突然知らされたら・・・

妹の考えと父の一方通行の考えの
行き違いにこの姉妹は相続迷子になっているかもしれません。

そのときの反応を想像すると万が一のことも。

未来から贈り物

私たちの仕事を理解してくださる士業の先生が

相続が発生したときにお父さんが隣にいてくれて「そういうことなんだ」と言ってもらえれば良いのですが、そうではないですよね。あの時こんなふうに聞いたねと、その言葉の重みが本人(父)から伝わると、遺言書に残された父の言葉の重みがやっぱり違う。
「だから家族会議はおこなったほうがいいと私も考えています」
「家族会議って未来の家族からの贈り物なんですよ」

「なるほど」と思いました。
この会議のきっかけも、
もしかしたら未来からの
メッセージを受け取ったからかもしれませんね。

最後に

この家族の続き・・・
もし、こういってもらえたら

「こうして、ちゃんと父さんの口から聞けてよかった。」
皆、うなずく家族が見えます。

お父さんは見てどう感じるでしょうか
「今日の話から、これからの考えは変わるかもしれない。でも、この話し合いをきっかけに、家族として納得のいく形をつくっていきたい」こんな気持ちになりそうです。

「これが、今この時間をつくった理由」
最初の家族会議の第一歩
それでいいと思っています。

この記事を書いた人

コラン相続コンサルタント事務所 坂本俊一