「相続と介護家族で備える未来」

投稿日 2024年12月5日
著者コラン相続コンサルタント事務所　坂本俊一
カテゴリー介護
カテゴリー認知症

「わかっているけど、なかなか進まない」そんな相続現場のリアル

今日、訪問したご家庭は
年金生活をされているご夫婦でした。

奥様は90歳のお母様が元気で別居のお住まい。認知症などの問題もなく暮らされているそうです。一方、ご主人は年金に加えて株式運用もされており、経済的にも安定した暮らしを送られていました。

そんな中で、相続や老後の備えに
関する話題が自然と上がりました。
私がセミナーのご案内をしたところ、
奥様がふと、こんな言葉を口にされました。

「遺言書とか、書いておいたほうがいいのよね。でも、なかなかねぇ…。後々大変だよねって、夫婦でよく話してはいるんですけど。」

ご夫婦は、自分たちの将来を見据えて、相続や遺言について話し合うことが必要だと感じている様子でした。

ご主人も苦笑いしながら、
「やらなきゃいけないことはわかってるんだ。でも、ついつい先延ばしになっちゃう。」現実的にはその準備は進んでいないとのことでした。

私は少しお聞きしてみました。
「いつ頃から、そう思われていたんですか？」

「そうだなぁ…ずいぶん前からだよ。でも、ほら、日々の生活に追われて、ついね。」

わかっているけど進められない
その言葉には、相続に対する
「現実」と「理想」のギャップが見えるようでした。

家族に訪れるかもしれない変化

私から「もしもの話」を
たとえば、こんな場合です。それは、もし奥様が先に亡くなった場合、残されたご主人と家庭にどんな変化が起きるか、ということです。

ご主人が少し考え込むように話し始めました。

「そうだな…。年金と株の収入があるから、生活はなんとかなるかもしれないけど…。それでも、たとえば認知症になって介護が必要になったら、一気に変わるだろうな。」

万が一そうなった時・・・
株の運用は続けていけるか？
2人で生活できていたが、一人になった途端に変わってくる環境とかかるお金

「株の収入があるから余裕だと思っていたけど、支出が急に増えることもあるかもしれないな。」

お二人のイメージが深くなってきたので
「支出の変化もそうですが、もう一つ注意したいのが“自由にお金を使えなくなる可能性”です」

もしご主人が判断能力が低下してしまった時に「こんなことも」と話したところ。

「そういう状況になると、年金や株の収入があっても、すぐに使えるお金が減るかもしれないな」

ご主人の声は少し低くなり、現実を受け止めたような驚いた感じでした。

認知症、要介護となり、施設に入所にかかる費用、そのうち介護保険の負担割合は1割だとしても、それ以外の自己負担費用も少なくありません。

ご主人の隣で、奥様が静かにうなずきました。「だから、ちゃんと準備しておかないといけないんですよね。自分たちがしっかりしている間に」

今は安定した収入源があるとはいえ、奥様が先に介護になったり、ご主人が認知症になった時、日常生活の変化は大きいかもしれません。

「今だからこそできること」を始める大切さ

「わかっているけど、進まない」。これは相続や老後の準備について多くの方が抱えている共通の言葉。

「やらなければいけない」と感じながらも、目の前の生活に追われる中で、将来の話は後回しになりがちです。

しかし、だからこそ「今のうちに始める」ことが、未来を守る第一歩です。私が感じたのは「家族の未来を守りたい」というご夫婦の強い思いでした。

今、行動することで守れる家族の未来

相続や老後の準備は、大切な家族の未来への贈り物。それを形にするために、今日から小さな一歩を踏み出してもらえたら嬉しいと思いました。

このご夫婦は
私との話をもしもの自分ごとに置き換えてたくさんの想像をしてくれました。

相続や老後の備えには、専門家のサポートがあれば進めることができます。
遺言書の作成や資産の整理、さらには介護や万が一のお金の計画まで、できることはたくさんあります。そして、それらを一つひとつ進めることで、ご家族の安心感が格段に変わるはずです。

今日お話を伺ったご夫婦のように、
「考える時間をつくること」から始めてみることをおすすめします。

今こそ一歩を踏み出しましょう！